初等量子力学1問1答 3/4
元ネタ:量子力学演習 後藤憲一 他
問題
問1
Born近似を説明せよ。
答1
問2
湯川ポテンシャル による散乱の断面積をBorn近似で求めよ。
答2
解答
問1
シュレディンガー方程式は 、 とおくと、
と書ける。(ポテンシャルは球対称とする。)
この方程式の解の中で
という形になるものを探したい。
(ここで は3次元の波数ベクトル(運動量を で割ったもの)の大きさである。
しかし、以下ではベクトルそのものも考えるので注意が必要。)
ここで、Green関数 を
を満たすものとして定義する。(ただし、もう少し詳細が以下にある。)
これは「原点()のみにソースがあるときの波動関数」と
考えることができる(と思う)。
ソースが であるときの波動関数はGreen関数を足し合わせて作るのである。
それで、Green関数の はこのエネルギーを持つ波動の波数ベクトルを表す。
Green関数をフーリエ変換
して、
と合わせ考えると、
がわかる。
したがって、Green関数はこれをフーリエ変換しなおせば求められる。
しかし、積分の範囲内で の分母が0になるので、そこを
避けなければならない。
そこで、実軸上の積分を複素平面内の積分と考え直し、
積分路を下のようにする。
このように積分路を選ぶと、留数を拾って、
となる。
このように積分路を選んだ理由は、上記のように「中心から外に向かっていく波」が
欲しかったからである。
このGreen関数を使うとシュレディンガー方程式の解は次のように書ける。
これが解であることは、代入して確かめられる。
ただし、第1項は「 方向に進む入射波」を表すが、その は
波数ベクトルの大きさである。
第2項の はGreen関数由来のものであるが、これは、散乱波の
波数ベクトルの大きさである。
これらは意味的に違うものかもしれないが、エネルギーの保存則より
同じ(大きさの)ものになる。
(まあ、どっちも同じ方程式の解なんだから、むしろ当然かな。)
なお、この式では、右辺にも があるので、「解けた」のではない。
散乱振幅 は第2項の 振る舞いから決まる。
は実質的に 0 になると考えられ、
を使って、 関係を他から「分離」できる。
ただし、 と の方向が同じであることを使っている。
以上より、
となる。
ここで、どうせ第2項は小さいのだから、第2項内の は入射波(平面波)に
してしまえ!という、如何にも物理っぽいことをする。
これを近似と言う。「禁じ」ではない。
さて、入射波を と書いてきたが、この現実的、しかし非対称なスタイルは
そろそろ限界かもしれない。
そこで、 と考え、
対応して今まで単に と書いてきたものを と書くと、
とおいて、
これでようやく微分断面積が出せる。
もちろん近似をあげていくことは可能だが私はやらない。
第1近似でこんなに(タイプが)大変だと思ってなかった。
問2
公式に入れるだけである。
また、
より