初等量子力学1問1答 4/4
元ネタ:量子力学演習 後藤憲一他
最終回
本日は でやる。
ついでに、言わなくても とする。
問題
問1
Lippmann-Schwingerの方程式
を導出せよ。
答1
問2
Lippmann-Schwingerの方程式はさらに
次のように書き換えられることを示せ。
ただし、 である。
答2
問3
散乱振幅とT-行列との関係を言え。
答3
問4
T-行列を「自由粒子+演算子」で表せ。
答4
問5
と書けることを示せ。
答5
問6
相互作用表示を説明せよ。
答6
問7
S行列を定義せよ。
答7
問8
より
を導け。
答8
問9 以下を示せ。
答9
問10
S行列から遷移確率を求めよ。
答10
問11
に対して散乱断面積を求めよ。
答11
解答
問1
例によってシュレディンガー方程式:
Green演算子を とする。
相互作用のない場合の固有関数 を用意して、
これは演算子 をかけると、シュレディンガーに戻りそうである。
まあ、物理だから。
問2
を使う。
とすると、
(*)
ここで、 がLS方程式を満たすことを示せばよい。
これを上式の右辺に代入する。
(最後に(*)を使っている。)
これは左辺である。
問3
だった。
これをブラ・ケットで書くと
のみを採用したのは、これが外向きに散乱されていく、つまり、
物理的にもっともらしい解だからである。
そして、 をT-行列と定義する。
問4
解答をみないと問題が何言ってるかわからないかもしれない。
(問題は私の出題であって、後藤先生たちの責任ではない。)
ただし、 。
問5
問6
問題文がおざなりである。
解答もおざなりであった。
問7
時間変化を表す演算子を とする。
これは と書ける。
ユニタリ演算子である。
また、シュレディンガー方程式より
これを積分すると、
となる。
無限の過去、未来で(問題にしている)粒子が平面波 、 だとすると、
S行列は次のように定義される。
だから、
、 を使って、
とも書ける。
この表記を使うとS行列のユニタリ性も簡単に証明できる。
問8
突然現れた は何かというと、無限の未来、過去で相互作用を
消すためである。
無限の未来、過去では粒子は遠くにあって相互作用しないだろうから。
でも、ぶっちゃけ、こうしないと答が出せないからであり、答が出るのが
正義なのである。
これが物理だ。と言っても過言ではあるまい。
第2項
問9
である。
という公式があるので、
デルタ関数の中に演算子があってもあわてない。
もう1つの式も同様。
問10
学生時代、本当に私を苦しめたのは の場合どうするのかである。
今でも、人生をかけられる程の確信を持っては言えないのだが、
たぶん、「そんな場合は考えない」が正解だと思う。
の場合、
デルタ関数の2乗くらいでひるんではいけない。
古来より物理学者に伝わる秘伝
を使えば、
となる。
よって、
物理学者にとって無限大とは「とっても大きな数」ということだ。
問11
今更だが、1辺が の箱の中で考える。
すると と考えられる。
このとき、「確率の流れ」は速度を とすると 。
したがって、
運動量(波数ベクトル)は のようになるから、
と考える。
は入射粒子の速さであり、「定数」であるが、
エネルギーに関するデルタ関数があるから、
反射波の速さと考えて被積分関数の方にいれることができる。
で より 。
よって、