テンソル積
双線形写像
加群 、 に対し
となる写像。
定理
以下の性質を満たす が一意的に存在する。
すなわち、任意の に対し下図が可換になる が唯一つある。
コメント
圏論っぽく書くと次のようになる。
双線形の射の集合を と書くと、
これは関手 であり、 は普遍要素である。
一般に、 と書く。
命題
(1) の元は の形で書ける。
(2) 、 に対し で
となるものが唯一つある。
(3) が全射なら も全射。
(4)
(5) 、 を基底にする自由加群 、 のテンソル積 は
を基底とする自由加群。
(証明)
(2) に公理を適用すればよい。
(4) から
準同型 が得られる。
また、 から
準同型 が得られ、これから
準同型 が得られる。
これらは互いに逆になっている。
(5) 、 より、
命題
(1)
(2)
(3)
命題
(1) 完全列 に対し、
も完全。
(2) 完全列 に対し、
も完全。
定義 射影加群、入射加群
任意の完全列 に対し、
も完全になるとき、 を射影加群という。
任意の完全列 に対し、
も完全になるとき、 を入射加群という。
命題
完全列 に対し、
も完全。
(証明)
の全射性は明らか。
も明らか。
よって、 を示せばよい。
そこで、まず
から を作る。
とすると、
よって が言えた。
定義 平坦加群
任意の完全列 に対し、
が完全なとき
を平坦 加群という。
定理
射影加群は平坦である。
元ネタ:可換環と体 堀田良之