モデル圏1

定義 射のレトラク
 
\begin{array}&X&\longrightarrow ^i&Y&\longrightarrow ^r&X\\\vspace{10}&&&&&\\\hspace{40}f&\hspace{3}\downarrow &\hspace{40}g&\downarrow &\hspace{40}f&\downarrow \\\vspace{10}&&&&&\\&X'&\longrightarrow ^{i'}&Y'&\longrightarrow ^{r'}&X'\end{array}
 
が可換で、ri\hspace{3}=\hspace{3}id_Xr'i'\hspace{3}=\hspace{3}id_{X'}のとき、fgのレトラクトという。
 
定義 リフト
\begin{array}&A&\longrightarrow ^f&X&\\\vspace{10}&&&&\\\hspace{40}i&\downarrow &&\downarrow &p\hspace{40}\\\vspace{10}&&&&\\&B&\longrightarrow ^g&Y&\end{array}
 
が可換のとき、h\hspace{3}:\hspace{3}B\hspace{3}\longrightarrow \hspace{3}Xがあって図が可換なままであれば、hをリフトという。
このとき、ipに対して左リフト性(LLP)があるといい、
piに対して右リフト性(RLP)があるという。
 
定義 モデル圏
Cが以下の条件を満たすとき、モデル圏という。
弱同値、ファイブレーション、コファイブレーションという3つの射のクラスを持つ。
それぞれのクラスは合成で閉じていて恒等射を含む。
弱同値な(コ)ファイブレーションを自明な(コ)ファイブレーションという。
これらは次の公理を満たす。
 
MC1 有限な極限と余極限を持つ。
MC2 fgf \hspace{3} gのうち2つが弱同値なら3つとも弱同値。
MC3 fgのレトラクトで、gが弱同値(ファイブレーション、コファイブレーション)なら、fもそう。
MC4 リフトの定義の図で
   iがコファイブレーションでpが自明なファイブレーションであるか、
   iが自明なコファイブレーションでpがファイブレーションのとき、
   リフトがある。
MC5 任意の射fは、
   f\hspace{3}=\hspace{3}p\hspace{3}i(ただし、iはコファイブレーションでpは自明なファイブレーション)と
   f\hspace{3}=\hspace{3}p\hspace{3}i(ただし、iは自明なコファイブレーションでpはファイブレーション)の
   2通りに分解できる。
 
コメント
ここでは、弱同値を\simで表す。
 
コメント
始対象、終対象は、「空圏からの関手」の余極限、極限なので、モデル圏には必ず存在する。
ここでは、始対象は0、終対象は*と記す。
 
命題
モデル圏において
(1)自明なファイブレーションに対してLLPを持つ射はコファイブレーションである。
(2)ファイブレーションに対してLLPを持つ射は自明なコファイブレーションである。
(3)自明なコファイブレーションに対してRLPを持つ射はファイブレーションである。
(4)コファイブレーションに対してRLPを持つ射は自明なコファイブレーションである。
 
命題
モデル圏において
コファイブレーション、自明なコファイブレーションは押し出しに対して安定である。
ファイブレーション、自明なファイブレーションは引き戻しに対して安定である。
 
元ネタ:Homotopy theories and model categories W.G. Dwyer and J. Spalinski