モデル圏1問1答 1/5
Homotopy theories and model categories W.G. Dwyer and J. Spalinski より。
問題
問1
モデル圏の定義を述べよ。(Dwyer Spalinski方式)
ヒント:MC1〜MC5
答1
問2 以下を証明せよ。
モデル圏において
(1)自明なファイブレーションに対してLLPを持つ射はコファイブレーションである。
(2)ファイブレーションに対してLLPを持つ射は自明なコファイブレーションである。
(3)自明なコファイブレーションに対してRLPを持つ射はファイブレーションである。
(4)コファイブレーションに対してRLPを持つ射は自明なコファイブレーションである。
答2
問3 以下を証明せよ。
(1) コファイブレーションと自明なコファイブレーションは押し出しで安定。
(2) ファイブレーションと自明なファイブレーションは引き戻しで安定。
答3
問4
射が弱同値、ファイブレーション、コファイブレーションであることの
証明はどうやってやればよいか。
答4
問5
円筒対象、経路対象の定義を述べよ。
答5
問6
問5の答にある 、、、 が弱同値であることを証明せよ。
がコファイブラントで が良い円筒対象なら 、 は自明なコファイブレーション、
がファイブラントで が良い経路対象なら 、 は自明なファイブレーション
であることを証明せよ。
ヒント:前半ができない人はちょっとうっかりさんである。
答6
解答
問1
モデル圏
圏が以下の条件を満たすとき、モデル圏という。
弱同値、ファイブレーション、コファイブレーションという3つの射のクラスを持つ。
それぞれのクラスは合成で閉じていて恒等射を含む。
弱同値な(コ)ファイブレーションを自明な(コ)ファイブレーションという。
これらは次の公理を満たす。
MC1 有限な極限と余極限を持つ。
MC2 、、のうち2つが弱同値なら3つとも弱同値。
MC3 がのレトラクトで、が弱同値(ファイブレーション、コファイブレーション)なら、もそう。
MC4 リフトの定義の図で
がコファイブレーションでが自明なファイブレーションであるか、
が自明なコファイブレーションでがファイブレーションのとき、
リフトがある。
MC5 任意の射は、
(ただし、はコファイブレーションでは自明なファイブレーション)と
(ただし、は自明なコファイブレーションではファイブレーション)の
2通りに分解できる。
問2
(1)のみ証明する。
が自明なファイブレーションに対してLLPを持つ射とする。
これがコファイブレーションとなることを示せばよい。
をコファイブレーション-自明なファイブレーション に分解すると、
ができる。( は仮定より。)これを書き直して、
ができる。
これは、 がコファイブレーション のレトラクトであることを示している。
よって、 がコファイブレーションであると言える。
問3
(1)の半分のみ証明する。
題意は
で、 がコファイブレーションなら もコファイブレーションになるということ。
がコファイブレーションであることを示すには、自明なファイブレーションに対して、
LLPがあることを示せばよい。そこで、
が可換で、 は自明なファイブレーションとする。
すると、
ができる。( は のLLPによる。)
一方、 が押し出しであることから、 と より、
が決まる。
問4
考察している射やその近辺の射を
コファイブレーション-自明なファイブレーションに分解
自明なコファイブレーション-ファイブレーションに分解
して考えるとよいかもしれない。
弱同値
恒等射は弱同値。
2 out of 3 が弱同値なら、残りも弱同値。
弱同値のレトラクトは弱同値。
ファイブレーション
恒等射はファイブレーション。
ファイブレーションの合成はファイブレーション。(2 out of 3 まではいかない。)
ファイブラント対象から終対象への射はファイブレーション。
自明なコファイブレーションに対してRLPがあればファイブレーション。
ファイブレーションのレトラクトはファイブレーション。
ファイブレーションの引き戻しはファイブレーション。
コファイブレーション
恒等射はコファイブレーション。
コファイブレーションの合成はコファイブレーション。(2 out of 3 まではいかない。)
始対象からコファイブラント対象への射はコファイブレーション。
自明なファイブレーションに対してLLPがあればコファイブレーション。
コファイブレーションのレトラクトはコファイブレーション。
コファイブレーションの押し出しはコファイブレーション。
自明なファイブレーション、自明なコファイブレーションについては推して知るべし。
問5
円筒対象
が
のように分解されるとき、 を に対する円筒対象という。
(ここで右の射は弱同値である。)
さらに、
がコファイブレーションのときは良い円筒対象、
その上 が自明なファイブレーションのときはとても良い円筒対象という。
ここでは に対して、、 と書く。
を と書くと、 である。
経路対象
が
のように分解されるとき、 を の経路対象という。
(ここで左の射は弱同値である。)
さらに、
がファイブレーションのときは良い経路対象、
その上 が自明なコファイブレーションのときはとても良い経路対象という。
ここでは に対して、、 と書く。
を と書くと、 である。
問6
で と は弱同値。
で と は弱同値。
よって前半部が言える。
余積は始対象からはじまる押し出しだから、
と書ける。
はコファイブレーションだから、その押し出しである
もコファイブレーションであることがわかる。
(正しくは、cobase change(余基底変換?)と言うべきだが、
訳語がよくわからないので、ぼんやり書いた。)
が良い円筒対象とは、 がコファイブレーションということだから、
もコファイブレーションである。
以下同様。