圏論初級徒然5
定義 要素圏
に対し、要素圏 を次のように定義する。
(1) 対象は ただし 、 。
(2) 射 は 、 となる 。
反変関手に対しては、
に対し、要素圏 を次のように定義する。
(1) 対象は ただし 、 。
(2) 射 は 、 となる 。
一般に を決めれば、当然 となる も決まる。
そこで、 のことをわざわざ言わないこともあるような気がする。
例 スライス圏
や 。
マックレーン先生はこれもコンマ圏とよんでいたと思う。
補題
に対する要素圏はコンマ圏に同型である。
ただし、 は米田埋め込み 。
共変のときは以下のようになると思う。
のときは、
ただし、 。
命題
が表現可能 要素圏が始対象を持つとき
が表現可能 要素圏が終対象を持つとき
(証明へのコメント)
教科書の証明は が共変の場合を書いている。
の場合も必要性はすぐわかる。
十分性もまじめに考えればわかる。
まず、 を終対象とする。
このとき、任意の に対して、射 があるが、
これは 、 ということ。
米田の補題の自然変換を と書くと、
となって、あとは教科書の共変の場合と同じ形になる。
それにしても、圏論の本は、共変でやったり反変でやったりときどきチェンジする。
もちろん、親切でやっているのもわかる。
命題
任意の に対し、 の表現で張られる の充満な部分圏は
空圏か可縮な亜群である。
(証明へのコメント)
上の命題からほぼ明らかだが、まじめな証明で前日の最初の補題が出てくる。
要素圏・・・というのは、実は、マックレーンにも出ている。(第3章7節定理1)
定理 上記
ローカルに小さい圏 から への関手 に対し、
を考える。
すると、 。
つまり、 は表現可能関手()の余極限として表すことができる。
元ネタ:Emily Riehl : Category theory in context