圏論初級徒然6
予想を遥かに上回る遅さで進んでいる。
やっと、極限、余極限。
定義
に対し を
「 のすべての対象を に、すべての射を にうつす関手」と考える。
(例によって、記号の濫用だと思うが、数学っぽくてかっこいい。
そしてそれを理解できる自分はすごいなと思える。)
すべての をそのような関手にうつす関手を とする。
定義 錐
に対し 自然変換 のことを、
「 を頂点とする 上の錐」という。
は、「 を底とする 下の錐」という。
(今日は、微妙にマックレーン先生の記法に従っている。)
定義 極限・余極限
を を 「 を頂点とする 上の錐」の集合にうつす関手とする。
(つまり、 )である。
この関手が表現可能のとき、
その表現を極限という。米田の補題
により、この対応は、 の1つの元( とする)で書ける。
この を極限錐という。
この双対
より、余極限
余極限錐 が定義される。
ちなみに、 だから、
である。
補題(教科書では定義になってる)
極限は の終対象である。
余極限は の始対象である。
(証明)
前日の命題より。□
命題
2つの極限があった場合、頂点同士は同型で、その同型射は
錐の他の射と可換である。
極限の例
・積
が分離圏(恒等射以外に射のない圏)のときの極限。
・終対象
が空圏のときの極限。
・終圏
、 の終対象。
今更だが、 は小さい圏の圏、 はローカルに小さい圏の圏。
これは対象が1つで射が恒等射のみの圏。
・イコライザ
が
の極限。
・引き戻し
が
の極限。しばしば、 に対し のように書かれる。
極限の例
・余積
が分離圏(恒等射以外に射のない圏)のときの余極限。
・始対象
が空圏のときの余極限。
・コイコライザ
が
の余極限。
・押し出し
が
の余極限。
ところで、
などという公式をよく見るが、これらが「当たり前すぎて説明を聞かれるのも嫌」に
見えるようでなければ、まだ修行が足りないのだろう。
たとえば、積では次のような(積の普遍性を表す)図式が書ける。
これを式で書けば、 。
これは上の式(の例)になっている。
余積の場合も同様に、
である。
元ネタ:Emily Riehl : Category theory in context