圏論初等徒然9 極限・余極限の表現可能性
特に言わない限り、扱う圏はローカルに小さいとする。
定理
(証明的な何か)
リール先生の証明は「考えればわかるよね」的で、たぶんこの感覚をつかむことが
重要なんだろうと思う。
が、別の言葉で言えないかとも思った。ここまでの結果を使えば、
最期の変形は極限の定義である。
問題は真ん中の変形である。
で、これはリール先生が「わかるよね」と言って書いたものでしかない。□
この定理の性質を「極限の表現可能な普遍性」というそうだ。
命題
は極限を保存する。
定理
米田埋め込みは極限を保存し反映する。
すなわち、 の錘は で極限錘のとき、そのときに限り極限錘である。
(証明)
保存するということは、上の定理で言った。
反映するというのは、「充満忠実な関手は極限を反映する」のであり、
米田埋め込みは充満忠実な関手だからである。□
定理
これは自然同型である。
定理
は の余極限を の極限にうつす。
米田埋め込みは極限を保存し反映する。(こっちは反変版。要するに、どっちも。)
定理
の余極限はコイコライザで構成できる。
(コメント)
言うまでもなく、 の拡張版の双対である。
双対であるところは特に意味はないと思う。
証明は・・・もう何度も見たから。□
補題
終対象があれば、終対象への引き戻しが積である。
(コメント)
知ってた。
補題
イコライザは引き戻しで定義できる。
より
(証明へのコメント)
知らなかった。
けど、図を書けば、そんな感じ。
しかし、証明がおもしろい。これまでの話の総復習のようだ。
まず、 は極限を保存するから、上の引き戻し図式を の世界での
引き戻し図式にできる。
しかも、積も極限だから、同様に保存され、
となるから、
結局、以下のような引き戻しができる。
しかも、これは の世界なので、根性で極限が作れる。
なる元を考えると、 の中で
つまり
となる元 を集めればそれが になる。
すると、
なる の世界でのイコライザができたことになる。
は極限を反映するから、 がイコライザであると言える。
学ぶべき何かがあるような気がする。□
定理
引き戻しと終対象を持つ圏は有限な極限を持つ。
押し出しと始対象を持つ圏は有限な余極限を持つ。
元ネタ:Emily Riehl : Category theory in context