カン拡張1
補題
が恒等関手上の錘であり、 があって、
が極限錘となっているなら、 は の始対象。
(証明)
であるが、これを関手 と考え、
という構造を考えている。
は錘だから、下図が可換。
( からすべての対象 への射 が他の射と可換になるようにある。という点がポイント。)
しかるに、 は極限錘なので、 がわかる。
さらに、 があったとすると
も可換だから、 が言える。
これは、 は唯一つしかないということを意味する。□
系
は(あれば)始対象である。
(証明)
上の補題で を とすればよい。□
に対し、コンマ圏 を考え、
[tex:Q\hspace{3}:\hspace{3}(x\hspace{3}\downarrow G)\hspace{3}\longrightarrow \hspace{3}A\hspace{18}(\hspace{3}
を定義する。(この関手が結構なすぐれものである。)
定理
が左随伴を持つ必要十分条件は
(1) が のすべての極限を保存する。
(2) 各 について が存在する。
( である。)
(証明)
必要性:
(1) 随伴とはそういうものだった。
(2) 一般に、始対象 を持つ圏 について、 は必ず極限を持つ。
それは である。
しかるに、 は始対象 [tex:
十分性:
が極限を保存するとき、 はすべての極限を創出する(圏論の基礎 補題5-6-3)。
極限を創出する関手はその極限を保存する(圏論の基礎 定理5-4-2)。
を考えると、 は を創出し、保存する。
と書くと、[tex:
が与えられると に対する関手 が定義できる。
ここで は の対象(つまり、関手)、 は の射(つまり、自然変換)。
定義 右カン拡張
、 が与えられたとき、
に沿った の右カン拡張とは と
から への普遍射 の組である。
図に書くと
ただし、 である。
を にうつす変換は、( を と書き)自然な全単射を与える。
もし、すべての に対して右カン拡張があるなら、これは随伴である。
上の対応を と置くなら、随伴の常道によれば、
と書けるだろう。
ついでに左カン拡張について書くと次のようになる(と思う)。
元ネタ:圏論の基礎 マックレーン