代数曲線入門1問1答 4
元ネタ:代数曲線 梶原健
問題
問1 以下を示せ。
を整域 の部分環とする。
とすると、任意の はモニックな 係数多項式の根である。
答1
問2 以下を示せ。
を整域 の部分環とする。
とすると、 が体であることと が体であることは同値である。
答2
問3 以下を示せ。
代数的閉体 を係数とする多項式環 において
は極大イデアルである。
答3
問4 以下を示せ。
代数的閉体 を係数とする多項式環 の
任意の極大イデアルは に等しい。
答4
問5
代数的閉体 を係数とする多項式環 の
任意の極大イデアルは に等しい。
を示すのに、以下を示せばよいことを述べよ。
(ただし、 は の(なんらかの)極大イデアル)
答5
問6 以下を示せ。
代数的閉体 を係数とする多項式環 の
任意の でないイデアルは、変数変換をすることで、
(変換したあとの) に関してモニックな多項式を含むようにできる。
答6
問7 以下を示せ。
代数的閉体 を係数とする多項式環 の
任意の極大イデアルは に等しい。
答7
問8
ヒルベルトの弱零点定理を述べよ。
答8
問9
ヒルベルトの弱零点定理を証明せよ。
答9
問10
ヒルベルトの零点定理を述べよ。
答10
問11
ヒルベルトの零点定理を証明せよ。
答11
問12 以下を示せ。
代数的閉体 を係数とする多項式環 において、
の代数的集合と根基イデアルは1対1に対応する。
この対応は包含関係を逆にする。
答12
問13 以下を示せ。
代数的閉体 を係数とする多項式環 において、
の既約な代数的集合と素イデアルは対応する。
この対応は包含関係を逆にする。
答13
問14 以下を示せ。
(1) が根基イデアル に対し
(2) が素イデアル と書けない。
(3) が根基イデアルで、 と書けない。
は素イデアル。
答14
問15 以下を示せ。
多項式環の真のイデアルは有限個の素イデアルを用いて
と書ける。ダブりがないようにすれば、これは一意的である。
答15
解答
問1
とする。すると、
となるが、
すべての が ということはないから、 。
すなわち、 は の根。
問2
が体とする。
任意の に対し、 はある。
これはあるモニックな多項式の根になっている。
この式に をかけて移項すると、 。
この右辺は の元なので、 である。
次に、 が体とする。
に対し、 とする。
は整域なのでこれは単射。
さらに、 は 線形空間として有限次元なので、 は全射となる。
よって、 となる がある。
問3
とする。
すると、 は定数なので、 に何を代入しても定数である(当たり前か)。
ところが、 であるので、
結局、 が言える。
一般に多項式は
(ただし、「」は のどれかを因子に持つ部分)と書ける。
よって、 とすると であり、
[tex:m\hspace{3}+\hspace{3}
つまり、 は極大イデアルである。
問4
一般に多項式環の素イデアルは既約多項式に対応するが、 は代数的閉体だから、
素イデアルは の形のもののみ。
極大イデアルは素イデアルだから、結局、これ以外に極大イデアルはない。
問5
剰余類の世界で とする。
すると、元の多項式環の世界で は に含まれ、
しかも、これは極大イデアルだから、 が言える。
問6
このイデアルを とし、 とする。
また (ただし、 )
とする。
の の最高次数を とすると、その係数は の 次斉次成分 を使って
と書ける。
は(恒等的に) ではないので、 を適当に選べば非 とでき、
が望んだ多項式になる。
問7
問5、問4より、 の場合は成り立つ。
あとは帰納法を使う。
極大イデアル が を含むとする。
(問6よりいつでもそうできる。)
すると、
(ただし、 、 )。
さらに、
よって から への単射準同型ができる。
すると、 と は問2の条件を満たす。
帰納法の仮定から であり、任意の は 係数多項式の根だが、
が代数的閉体だから が言える。
問8
代数的閉体 を係数とする多項式環 の
真のイデアル に対し 。
問9
を含む極大イデアル をとれば、 。
問10
代数的閉体 を係数とする多項式環 の
イデアル に対し 。
問11
のときは明らか。
よって、それ以外のときを考える。
・
とする。
それは ということだが、 に対し、 。
よって であり、 。
・
とする。
のとき、
とそのイデアル を考える。
すべての が なら も だから は空集合。
すると、 なので、
とできる。
に を代入し、十分大きな に対する をかけると、
。
問12
当然である。
問13
素イデアルは根基イデアルである。
問14
(1)
は明らか。
を示すために、
とする。
すると、 と書ける。
が根基イデアルだから、 。
(2)
とすると、 。
そういうのは素イデアルとは言わない。
(3)
(1)と(2)より。
問15
が根基イデアルの場合のみ証明すればよい。
有限個の素イデアルの共通部分で書けない根基イデアルがあったとする。
そのようなイデアルで極大なものをとる。(ネーター環なのでとれる。)
自身が素イデアルではないから、前問(1) より、
と書ける。
両辺の根基をとって、 を根基と考える。
しかし、 は極大だったので、 は有限個の素イデアルに分解できる。
それは矛盾である。
一意性の証明はがんばれ。