代数曲線入門1問1答 6
元ネタ:代数曲線入門 梶原健(ここを読む人は買うべし)
問題
問1 以下の定義を述べよ。
体の拡大、代数的独立、代数上超越、超越次数
(超越次数は のように書く。)
答1
問2 以下を示せ。
のとき、 上超越的な元 が 上代数的なら
は 上代数的である。
答2
問3 上独立な元 に対し、以下は同値であることを示せ。
(1) が代数拡大である。
(2) 。
特に、 上有限生成な体 の は有限である。
答3
問4 以下を示せ。
で が有限のとき、
。
答4
問5 以下を示せ。
で が有限のとき、
が 上有限生成なら、 も 上有限生成 。
答5
問6
の閉部分多様体 の次元の定義を述べよ。
答6
問7 以下を示せ。
閉部分多様体 が1点であることは と同値である。
答7
問8 以下を示せ。
が曲線のとき(すなわち )、
に真に含まれる代数的集合 は有限個の点からなる。
答8
問9 以下を示せ。
曲線 の でない有理関数の極および零点の個数は有限個である。
答9
問10 以下を示せ。
の次元は である。
答10
問11 以下を示せ。
が既約のとき、 の次元は である。
答11
問12 以下を示せ。
の閉部分多様体 の次元が ならば、
ある既約多項式 が存在して
である。
答12
解答
問1
がんばれ。
問2
仮定より があって 。
If only all problems in math were something like this...
問3
・
が 上超越的なら
、 が 上代数的に独立ということになるから、
でなくなる。
・
帰納法で証明。
は明らか。
とおく。
は 上代数的独立で、
が代数拡大だから、帰納法の仮定より 。
さて...。
上で代数的に独立なものは 個ある。
だから、そういうのを集めて とする。
これらは、 上でも代数的に独立である。
しかし、 には代数的に独立な元がもともと 個あったので、これらに加えて
少なくともあと1個は 上で代数的に独立な元が取れる。それを としておく。
は前半部の結果より、 の
代数的拡大であり、 はその上で代数的となる。
よって、前問より、 は 上代数的。
また、それよりたくさんの代数的に独立な元はとれない。
どう?あってる?
問4
が有限だから他も有限。
上代数的独立な の元で個数が最大の組(の1つ)を とし、
上代数的独立な の元で個数が最大の組(の1つ)を とする。
これらを合わせると、それらは 上独立な 個の の元たちになる。
さて、任意の は でない の根になる。
ということは、 は 上代数的ということになり、
が言える。
問5
一生懸命打ち込んだ解答が一瞬で消えた。
前問と同じ記号を使う。
たとえば、「 が 上有限生成」とは、 を係数とした の有限個の元の多項式の商で
のすべての元が表されるようなときを言う。
一方、「 が の有限次拡大体」とは、
を 線形空間と考えた時の次元が有限であることを言う。
そして、この場合は、「 が 上有限生成」と言えるわけである。
似たような用語が同時に出てくるので混乱しそうになるが、意味的にはまったく別の概念である。
さて、「 が 上有限生成」は、「 が の有限次拡大体」を示せばよい。
そもそも が の有限次拡大体なので、
「天井」が決まっているという感じではある。
で、有限次元な線形空間であることを示せばよいので、任意の に対し、
を考える。
1次独立性は の世界で示せればよいが、「天井」のある で考えたい。
ので係数の範囲を大きく取った。
この等式は右辺が なので定数倍してよく、 なので、
たちを適当に掛けて、 と定義しなおすことができる。
こうすると、 は と の混ざった式になるが、
は代数的に独立なので の係数はそれぞれ でなければならず、
その係数は の1次式であり、それぞれの係数がやはり でなければならない。
まとめると、 となり、 は 上で1次独立とわかる。
それなら、なおさら、 上で1次独立である。
問6
問7
は閉体だった。そのとき 。
これは ということでもある。
つまり、 。
が極大イデアルのは、 が1点のときだった。
問8
が既約の場合を考える。
だから、 。
ここで は 上超越的な元を含む。
(もし含まなければ、 は の元のみを含むイデアルということになるが、
それでは と一致してしまう。すると は を含むイデアルと
いうことになるが、それはおかしいと思う。)
しかるに、 の次元は なのだから、それ以上に超越的な元はない。
だから、 である。
問9
題意の極または零点の全体は と異なる代数的集合である。
問10
問11
に が現れるとする。
すると、
は単射になる。
(言うまでもなく、核を考えてみると、そんなものは しかない。)
したがって、もともと代数的に独立な の像 (ただし )も代数的に独立である。
一方、 だから、 は代数的である。
最終的に、 の分数体を考えたいのだった。
それは の有限次拡大 である。
よって、 。
問12
は でない素イデアルなので、ある既約多項式 を含む。
そこで、次のような全射 準同型を考える。
を 上代数的に独立な元とし、
を となる元とする。 は 上代数的に独立である。
ここで、 が単射であることを示す。
とすると、 でない が、
ある に対して、
となる。
この は と考えられる。
( は でなかった。だから、 には の項がないか、
あっても、 で適当に割れば に依らない項が残るはずである。)
すると、 となって、
の代数的独立性に矛盾する。
よって、 。