モデル圏5

定義 導来関手 に対し、次のような関手 と 自然変換 の組を左導来関手(left derived functor)という。 すなわち、任意の関手 と自然変換 に対し、 を可換にするような が唯一つ決まる。 右導来関手は と で、 次のようになるもの。 命題 がコファイブラン…

モデル圏4

加群の圏を と書く。 定義 鎖複体の圏 対象 :加群の集まり 。 ただし、この加群間には境界写像 がある。 境界写像は を満たす。 射 : 加群の準同型 の集まり。 を満たす。 定義 ホモロジー関手 に対し 輪体加群 : 境界加群 : ホモロジー関手 : のとき、…

モデル圏3

定義 のコファイブラントな対象を集めた部分圏 のファイブラントな対象を集めた部分圏 のコファイブラントかつファイブラントな対象を集めた部分圏 で「射を右ホモトピーで分類したクラス」を射とする圏 で「射を左ホモトピーで分類したクラス」を射とする圏…

モデル圏2

定義 コファイブラントとファイブラント 始対象からの射がコファイブレーションである対象をコファイブラント、 終対象への射がファイブレーションである対象をファイブラントという。 (fibrant、cofibrantは形容詞のようである。したがって日本語訳は 形容…

モデル圏1

定義 射のレトラクト が可換で、、のとき、はのレトラクトという。 定義 リフト が可換のとき、があって図が可換なままであれば、をリフトという。 このとき、はに対して左リフト性(LLP)があるといい、 はに対して右リフト性(RLP)があるという。 定義 モ…

テンソル積2

が1つ固定されているとき、 は 代数という。定義 係数拡大 を 加群 の への係数拡大という。 2つの 代数 、 に対して を考えることができる。 乗法を と定義することで再び環になる。命題 が可換とする。 このとき が存在する。 このようなものは同型を除い…

テンソル積

双線形写像 加群 、 に対し となる写像。 定理 以下の性質を満たす が一意的に存在する。 すなわち、任意の に対し下図が可換になる が唯一つある。 コメント 圏論っぽく書くと次のようになる。 双線形の射の集合を と書くと、 これは関手 であり、 は普遍要…

多様体間の射

定義 準アフィン多様体 上の正則関数 関数 が において正則とは次のようなときに言う。 となる開近傍 と多項式 がある。 は 上いたるところで ではなく、 上で となる。 が のすべての点で正則であるとき、 上正則であるという。 定義 準射影多様体 上の正則…

射影多様体

射影 空間を と書く。 多項式環 ] を次数付き環 とする。 において となるイデアルを斉次イデアルという。 を の斉次元のみからなる集合とし、その零点集合を とする。 定義 代数的集合 の斉次元の集合 に対し となる の部分集合。 命題 2つの代数的集合の和…

アフィン多様体

を固定した代数閉体とする。 定義 アフィン 空間 : 多項式環を としておく。定義 零点集合 に対して、 定義 代数的集合 について、ある があって となるとき、 は代数的集合という。 命題 2つの代数的集合の和集合は代数的集合である。 代数的集合の任意の…

初等量子力学1問1答 4/4

元ネタ:量子力学演習 後藤憲一他最終回 本日は でやる。 ついでに、言わなくても とする。問題 問1 Lippmann-Schwingerの方程式 を導出せよ。 答1 問2 Lippmann-Schwingerの方程式はさらに 次のように書き換えられることを示せ。 ただし、 である。 答2 問3…

初等量子力学1問1答 3/4

元ネタ:量子力学演習 後藤憲一 他 問題 問1 Born近似を説明せよ。 答1 問2 湯川ポテンシャル による散乱の断面積をBorn近似で求めよ。 答2 解答 問1 シュレディンガー方程式は 、 とおくと、 と書ける。(ポテンシャルは球対称とする。) この方程式の解の…

初等量子力学1問1答 2/4

元ネタ:量子力学演習 後藤憲一 他 問題 問1 シュレディンガー方程式の極座標表示を書け。 答1 問2 中の電子の束縛状態を求めよ。 答2 問3 量子力学における散乱の一般論(クーロン力を除く)を述べよ。 答3 問4 クーロン力による散乱( )を解け。 答4 解答…

初等量子力学1問1答 1/4

元ネタ:量子力学演習 後藤憲一 他 問題 問1 Plankの放射公式を導け。 答1 問2 Stefan-Boltzmannの公式を導け。 答2 問3 を導け。 答3 問4 調和振動子の量子化を論ぜよ。 答4 問5 下図のように高さ のポテンシャルの障壁に向かって 粒子が左から来たときの透…

空1問1答

問題 問1 答1 問2 答2 問3 答3 問4 答4 問5 答5 問6 答6 問7 答7 問8 答8 問9 答9 問10 答10 問11 答11 問12 答12 問13 答13 問14 答14 問15 答15 解答 問1 問2 問3 問4 問5 問6 問7 問8 問9 問10 問11 問12 問13 問14 問15

物理学ミニマム(素粒子論)

注0.14 場の理論ではなく、粒子の分類学として。ただ、私はニュートリノは質量ゼロだと教えられて育った。 しかし、そうではなかったという。 ここでは、その話題にあまりふれられない。それから、以下で「事実」と書くのは、たいてい「事実と思われている」…

物理学ミニマム(場の理論)4

定義10.62 繰り込み 積分の発散を質量や結合定数(パラメータ)などに吸収させ、有限の答を出す方法を 繰り込みという。例10.63 理論 裸の場(もともとの場)、裸の質量、裸の結合定数を とする。 すると、ラグランジアンは これが量子効果によって のように…

物理学ミニマム(場の理論)3

定義10.39 S行列 始状態と終状態を結びつけるユニタリな演算子をS行列(S行列演算子)という。 注10:40 S行列要素 始状態が 個の粒子(運動量が )で 終状態が 個の粒子(運動量が )となる確率振幅は と書ける。 これを (S行列の要素)と略記する。 S行列…

物理学ミニマム(場の理論)2

定義10.25 時間順序積 2つのボソン演算子について、次のようなものを時間順序積という。 ( のとき) ( のとき) ヘヴィサイドの関数 を使って、 とも書ける。フェルミオン演算子については、次のようにする。 ( のとき) ( のとき) あるいは、 演算子が…

物理学ミニマム(場の理論)1

注0.11 本節は「物理」から切り離し、場の理論の構造のみを見る。 場の理論とは何か、大きく言うと「この世のすべてを説明しようとする理論」であり、 小さく言うと「粒子が衝突したときにどうなるかを確率的に予言する理論」である。 前者は胸にしまって、…

物理学ミニマム(一般相対論)2

定義9.30 リーマンテンソル、リッチテンソル、スカラー曲率 リーマンテンソル: リッチテンソル: スカラー曲率: 注9.31 定義より、次の対称性が確認できる。 注9.32 リーマンテンソルの「導出」 1つのベクトル を から に移し、 それから に移し、 それか…

物理学ミニマム(一般相対論)1

§9 一般相対論原理9.1 相対性原理 非慣性系においても物理の本質は不変(共変)である。注9.2 「座標変換に対して物理法則を表す方程式はきれいに変換する」ということである。 特殊相対論では、座標変換として、慣性系を慣性系にうつす変換(ローレンツ変換…

物理学ミニマム(統計力学)2

定義8.26 相転移 系がある状態から別の状態に移ることを相転移という。 ここで言う「状態」を相という。 相転移は、温度の関数である熱力学的な量(やその微分)に飛びが 現れることで特徴付けられる。例8.27 水が氷になるのは、液相から固相への相転移であ…

物理学ミニマム(統計力学)1

§8統計力学定義8.1 微視的状態、巨視的状態 系の力学的状態が厳密に指定されている場合、その状態を微視的状態という。 少数の物理量で粗く指定されている状態を巨視的状態という。注8.2 対象 統計力学は、微視的状態に関して考察しながら、巨視的状態を扱う…

物理学ミニマム(量子力学)2

定義7.37 角運動量演算子 定理7.38 (証明) 計算あるのみ。□注7.39 よって、中心対称なポテンシャルの場合は よって、これらは保存量となる。 しかし、 は互いに交換しないので、 同時に2つ以上指定できない。 は交換するので、たとえば、固有関数として と…

物理学ミニマム(量子力学)1

§7 量子力学定義7.1 波、粒子 干渉や回折するものを波といい、数えられるものを粒子という。原理7.2 波動関数 この世のすべての物質は波であり粒子である。 波は「座標と時間に依る複素数値関数」である波動関数 で表される。 (波動関数は空間方向に1次の導…

物理学ミニマム(電磁気学)2

定義6.30 電磁場のエネルギー・運動量テンソル 時間空間成分の 倍( )をポインティングベクトルといい、 空間空間成分をマクスウェルの応力テンソル( )という。注6.31 ポインティングベクトルは次のように書ける。 応力テンソルは次のように書ける。 注6.…

物理学ミニマム(電磁気学)1

§6 電磁気学定義6.1 場 空間自体を物理的対象と考えたとき、それを場とよぶ。定義6.2 電磁場、ポテンシャル 実在の空間は唯一つあるのみだが、見方によって「場」のよび方を変える。 「荷電粒子や磁石に作用する空間」は電磁場とよぶ。 電磁場は「4次元時空…

物理学ミニマム(特殊相対論)

§5 特殊相対論定義5.1 我々の時空は4次元であり、その座標は などと書かれる。 ( は光速を表す。) また、 とも書く。 添字を「足」などとよび、 などで表す。 また、以下で見るように、足は下に付く場合もある。定義5.2 慣性系 この節では、時計と座標をも…

物理学ミニマム(流体力学)

§4 流体力学定義4.1 流体の記述 流体は速度と熱理学的量の2つを座標と時間の関数として決めれば記述される。 速度は 、 熱理学的量は (圧力)、 (密度)などと書く。定理4.2 連続の式 (証明) 空間1次元で考える。 座標 に左端を合わせた長さ の箱(1次元…